絹の道 (森)

小説新潮11月号現代小説に真山仁さんの「絹の道」と言う短編小説がある。
真山さんはあの「ハゲタカ」を書いた人。「絹の道」を書くに辺り塩野屋服部さんに取材している。50年近く刺繍をしているが絹糸はあくまでも素材、絹織物も刺繍を置くベースとしかとらえていない。蚕の生い立ちも断片的に理解していた程度。
こんな一節がある「養蚕は、この百年で限りなく工業製品なっていったでしょ。お陰で蚕は育てやすくなり、均一で大量の糸を吐くサイボーグになっていった」とある。
そうなんだ。と妙に納得する。牛乳も仔牛に飲ませるだけなら4リットルでいいものを40リットルも採乳できるようにした。綿は日本産は0%。お米を食べているが、どのように作られているかは知らない。ただただ消費していただけなのだ。少し考え込んだ。
この絹の道一読をお勧め。
登場人物の台詞が服部さんが言っていることと同じ。